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製品への応用技術
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本格的インライン対応三次元座標測定機の登場

近年の日本の製造業においては、加工効率の向上やコスト低減の競争が極めて激しくなり、その対策として生産拠点の海外シフトが増大してきている。これは企業にとっての経営判断の一つであり、その傾向に批判の言葉は不適当であるが、日本の知恵や技術・技能が流出し、益々日本の製造業の空洞化が進行してしまう。今、日本の製造業が取り組まなければならない課題は、益々の加工効率の向上とコスト低減であることに違いは無いが、更に重要なことは、過去に培ってきた品質のレベルをも大きく越える高品質製品の製造である。この点に着目し、今回のJIMTOFに出展されている機械の完成度を見極めたいと思う。

高生産能率ばかりでない高品質生産の為の手法として、高精度部品で構成される高精度加工機の存在や、あるいは高精度な測定機を組入れた加工ラインの自律的なシステムの構築が挙げられる。前者は設備導入時の費用負担が大きくなりがちで量産には適さない。又、生産環境の影響により、その効果が完全では無い場合がある。後者はライン設計が必要であるが、加工ラインに信頼性の高い測定機を接続して、加工効率の向上と共に、より高い加工品質の実現を求める傾向として注目されている。そこで、後者のシステムに適する三次元座標測定機の動向を、当社の新商品であるMACH-Vを例にして説明する。

MACH-V

MACH-V

三次元座標測定機への要求

三次元座標測定機は、被測定物の寸法や幾何学量を座標値に変換する測定機で、任意の三次元曲面の高精度形状測定をも可能とする高度な測定機である。座標値による測定データを加工機へフィードバックすることにより、自律的な加工システム構築に大きく貢献できる重要な機械である。過去においては、三次元測定機は高精度で高効率測定の代表的な扱いで、測定室に納まることが多かったが、前述の様な要求の変化によって、より製造現場に近い所で、製造設備の一翼として使用される様な存在に進化しつつある。ここで、ユーザのニーズを整理してみる。

特に、機械加工生産の代表である自動車業界の考えは、(1)品質管理の為に工程毎に調べたく、測定箇所の数が増大する。→測定のスループット向上要求。 (2)加工ラインに組入れて加工直後に測りたい。→耐環境性の向上、温度補正に対する要求。 (3)ダウンタイムの極小化。→信頼性、耐久性、メンテナンス性の向上。(4)独自の品質管理手法と点検能力の自前化、等が存在し、又、当然ながら自動化、無人化要求であり、品質管理面と構築生産ラインの考えによって特注的個別対応が発生するビジネス環境である。それに対応する為に、測定ソリューション提供の一つとしてMACH-Vを戦略商品として提案しているのである。

MACH-Vの機械構造

当社が長年培ってきた信頼性の高い機構設計の能力を結集して作り出したのがMACH-Vの構造である。前に述べたユーザの要求を叶える為には、インラインあるいはラインサイドに接続可能で、被測定物の搬出入が容易な構造が求められる。そこで、当社では1968年より実績のあるコラム固定のブリッジ機構を採用した。これは当社の歴史的傑作機AタイプやFタイプ三次元測定機のオリジナルな構造体であり、その経験により絶大なる信頼性と開発ノウハウの凝縮によって独特の形をしている。ワークの搬出入の為に方持ち構造とし、前面あるいは側面からのアクセスを可能とした。

又、現場環境を考えてリニアガイドを採用している。更にワークスペースの確保と共に、三次元測定機そのものの大きさの省スペース化も追及している。高剛性鋳物の採用や、Xビームセンタ駆動(当社特許)などの特徴的な構造が完成されている。各軸の案内と駆動系などの重要な構造体が近郊に集合された配置となっており、更にフルカバーによって温度変化の影響など、その耐環境性に有利な構造である。又、一方では、求められる現場ラインの性質上、定期点検やダウンタイム極小化の為に保守要員のアクセスが容易な構造でなければならない。よって、可能な限りのオープンスペース確保にも注力した。

MACH-Vの仕様

X軸の測定範囲900mmを商品化し、今後、500、700の投入を予定している。指示誤差E=2.5+3L/1000 umを実現し、速度は866mm/s、測定速度を20mm/s、加速度は0.86Gとしている。 精度保証の温度環境は、15℃〜35℃の範囲である。特にパワートレインのワークを想定している。当社では更に高速・高スループット機としての横型MACHシステムも提供している。

表1 MACH-V仕様

  MACH-V565 MACH-V796 MACH-V9106
測定範囲mm X 500 700 900
Y 600 900 1000
Z 500 600 600
指示誤差:E 2.5+3L/1000 um (温度によりクラス分け)
最大速度 866mm/s (3軸)
測定速度 20mm/s
最大加速度 0.86G (3軸)
温度環境 15〜35℃

加工ライン接続の測定機における課題

ここで、MACH-Vの様なコンセプトを持つ測定機が持つ課題について補足する。要求に対応する為に機構設計を行うが、その完成は測定ソリューションの一部でしかない。顧客の要求に対しては、多くの技術開発が必要である。まず最初に直面するのは、ラインインテグレーションの方法である。これは顧客個別の対応が必要であり、その為に特注的な対応をすると費用が増大する。その低減の為には標準的システムが必要となる。又、そのシステムの操作環境への対応と、測定する工程毎に発生する測定パートプログラム作成にコストが掛かる。測定箇所が増え、工程毎のプログラム作成には多くの工数が発生する。ティーチング方式とするとプログラム作成に測定機が独占され加工ラインの稼動に影響が出てしまう。よって、オフライン作成システムや、CADからの自動発生機能などが求められることになる。又、ライン加工物のワーク温度の管理、あるいは補正の技術構築が必要であり、当社は、それらのトータル測定ソリューションに取り組んでいる。測定機には、より高精度で、より高速を実現すべく、工作機械の進歩と歩調を合わせて、その精度を数倍保証する使命を持って、更に進化して行く命題が課せられている。

JIMTOFには、日本の製造を支える最新技術が結集しており、技術者にとって最高の勉強の場である。競合の調査ばかりではない、製造全体を見て考える必要がある。関係する業界の動向の確認も参考となるものと期待し、ソリューションとは何かを考えてみたい。

[株式会社大河出版 ツールエンジニア 2004/11月号掲載]