広島県呉市 株式会社ヒロコージェットテクノロジー 様ジェットエンジン部品の極めて厳しい精度要求に複数台の高精度三次元測定機で対応

お客様の声 三次元測定機

導入機種:CNC三次元測定機 FALCIO-Apex 162012、CRYSTA-Apex EX123010R 等

社員一人ひとりが品質と向き合い実現した
最高水準の加工技術で世界市場に挑む

株式会社ヒロコージェットテクノロジー様ロゴ

戦後、軍需産業の遺産を活かした造船や鉄鋼業が成長し、中国地方を代表するものづくり都市へと発展した広島県呉市。航空機のジェットエンジン部品を長年にわたり手掛けている同市郷原町の株式会社ヒロコージェットテクノロジー様(以下、ヒロコージェットテクノロジー)を訪問。世界規格に基づく厳格な品質管理体制のもと高い要求に挑む、同社のものづくりにおける取組や課題についてお話をうかがいました。

本事例の要約

  • 課題・背景

    • 近年、燃費向上要請の高まりを背景に、大型のジェットエンジン部品加工には極めて厳しい精度が要求されるようになり、汎用測定機では測れないケースも増えている
    • ジェットエンジン部品の加工では、工程内検査も含めて全数検査を実施しており、かなり高い頻度で三次元測定機を使用
  • 導入内容・解決策

    • 大型部品に対応する「FALCIO-Apex 162012」や「CRYSTA-Apex EX123010R」などの複数台の高精度三次元測定機を導入
  • 効果・展望

    • 複数台の高精度三次元測定機を活用することにより、時代の進化とともに高まるジェットエンジン部品などの極めて厳しい精度要求に対応

事業概要

ドリルなどの工具の加工からはじまった精密加工技術の道

ヒロコージェットテクノロジーは、1956年に広島工具製作所として設立されました。創業者であり、現社長の田代 博造様のご祖父様である田代 徳造様が、戦後の財閥解体の影響を受けて倒産したドリルメーカーを買い取り、空襲で焼け出され廃棄されたドリルやリーマを研磨して再生する事業を興したことが同社の始まりです。

やがて、特殊ドリルや海外向けのセットドリルの製造を手掛けるようになり、成長路線を歩み始めた同社でしたが、1971年のニクソン・ショックによって日本の輸出産業が大ダメージを受けたのをきっかけにドリル製造から撤退。それまで培ってきた精密加工技術を活かして、特殊工具や部品加工へと主力事業をシフトしました。

大型部品の切削に用いられる加工設備

ジェットエンジンの部品製造を機に、
航空宇宙事業への進出を決意

その10年後、レシプロコンプレッサー部品の製造などで取引があった石川島播磨重工業(現IHI)が、呉を拠点に大型の民間航空ジェットエンジン部品の製造を開始。その時、すでに前社長からバトンを引き継ぎ経営の舵を握っていた田代社長は、航空宇宙事業への進出を決意します。

代表取締役社長 田代 博造 様

「この時が間違いなく、当社にとってのターニングポイントでしたね」と田代社長は振り返ります。
その後、同社の航空宇宙事業は着実に成長を続け、現在では売上の6〜7割を占めています。タービンディスクなど、受託しているのは高度な精密加工技術を要するジェットエンジンの主要部品がほとんどです。このことからも、同社が卓越した加工技術によってお客様から絶大な信頼を得ていることが分かります。

加工実績と信頼を積み重ねながら受注数を拡大

「といっても、最初から現在のような精密加工を要する主要部品を受注できたわけではありません。ジェットエンジン部品など品質基準が極めて厳しいものづくり分野では、お客様の要望に応えられる十分な体制を整えるのに時間がかかるものです。しかも、一度体制を整えても、新しい技術の登場によって刃物や工具が高機能化すれば、それを使いこなす技術が新たに必要になるので、絶えず技術革新に取り組まなければなりません。私たちの場合も、お客様の要望に応えられるだけの技術力を得るまでに数年を要しました。ジェットエンジン部品製造に用いる大型冶具を手始めに、エンジン部品の荒加工、仕上げ加工、エンジン部品の製造委託というように、一歩ずつ受託内容をレベルアップし、必要な技術を蓄積していった結果、現在の事業にたどり着くことができたのです」と田代社長は語ります。

さまざまな加工設備で高精度な精密部品を製造

運用体制・課題の背景

極めて厳しいジェットエンジン部品の精度要求に、厳格な品質管理体制で応える

優れた加工技術に加え、厳格な品質管理体制も、ヒロコージェットテクノロジーのものづくりの根幹をなす重要な要素です。品質管理部部長 寺井 達也様(取材当時)は、ジェットエンジン部品の製造に求められる品質管理を次のように説明します。
「一般的なものづくりでは、仕上がり寸法や形状を測定して品質を保証します。これに対してジェットエンジン部品の場合は、精度要求を満たし、仕様通りの部品を製造するのは当然のこととして、加工プロセスにおける加工方法や寸法も把握してコントロールすることが求められます」
部品加工や測定に関する情報は一元管理され、その部品が用いられたエンジンが役目を終えるまで保管されるといいます。万が一事故が発生した際は、加工日や加工に携わった人物まで特定されるといいますから、その厳しさがよく分かります。

品質管理部 部長 寺井 達也 様(取材当時)

高まる精度要求に応え続けるために、
測定技術のさらなる向上を目指す

このような厳格な品質管理体制において重要な役割を担うのが、ミツトヨ高精度CNC三次元測定機。測定を担当しているのは、品質管理部検査グループのメンバーです。同グループリーダーの川中 亮太様は、現場から見える課題について次のように語ります。
「近年、燃費向上要請の高まりを背景に、大型のジェットエンジン部品加工には極めて厳しい精度が要求されるようになりました。汎用測定機では測れないケースも増えており、私たち検査員も測定技術のレベルアップを常日頃から心掛けていないと、いつかついていかれなくなるという危機感をもっています」

品質管理部 検査グループリーダー
川中 亮太 様

導入内容・解決策

極めて厳格な品質管理体制において重要な役割を担う、
ミツトヨの高精度CNC三次元測定機

ヒロコージェットテクノロジーでは、ミツトヨの高精度CNC三次元測定機「CRYSTA-Apex EX123010R」や「FALCIO-Apex 162012」などをご導入いただき、品質管理にお役立ていただいています。
「ジェットエンジン部品の加工では、工程内検査も含めて全数検査を実施しているので、かなり高い頻度で三次元測定機を使用しています。さらに開発・試作では最適な加工方法を探り出すため、加工する度に測定するというような使い方もします。したがって、我々にとって三次元測定機は、なくてはならないものになっています」(寺井部長)

高速5軸スキャニングが可能なミツトヨのCNC三次元測定機「CRYSTA-Apex EX 123010R」

ミツトヨの大型CNC三次元測定機「FALCIO-Apex 162012」の利用風景

今後の展望

製造部門と品質管理部門が切磋琢磨して、理想に近づいていく

時代の進化とともに高まる厳しい品質要求に対応し続けるため、検査グループでは製造部門と意見交換しながら、常に測定技術の向上に取り組んでいます。また今後、検査員一人ひとりの測定に関する知識を深め、グループ全体で測定の課題解決力を高めていきたい考えです。
「ただ測定するだけでなく、加工方法の知識を裏付けにして、『どうして、この数値が出るのか』という踏み込んだところまで説明できることが、検査員には求められます。製造部門と品質管理部門が切磋琢磨していくことにより、そうした理想に近づけるのではないかと思います」(寺井部長)

お客様プロフィール

株式会社ヒロコージェットテクノロジー 様

ジェットエンジン部品など航空宇宙関連製品で培った精密加工技術と世界規格に基づく厳格な品質管理体制のもと、お客様が求める品質や技術に対して、絶えず一歩先へ前進することを目指したものづくりに取り組んでいます。

所在地 広島県呉市郷原町2507-916
設立 1956年5月
事業内容 ジェットエンジン部品(航空機、陸舶用)、宇宙ステーション・ロケット部品、レシプロ大型コンプレッサー部品、ガスタービン部品、ハイテク産業部品などの製造
URL https://www.hiroko-jet.co.jp/

*本記事の記載内容は、過去掲載記事に対して一部再編集を行った2021年9月時点の情報です。

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