滋賀県米原市 東レ・カーボンマジック株式会社 様5軸制御プローブ搭載の三次元測定機で、さまざまな複雑形状の製品の品質管理に対応

お客様の声 三次元測定機

導入機種:CNC三次元測定機 CRYSTA Apex S 122010、CRYSTA Apex S 9108

レーシングカー開発で培った技術と創造力でものづくりの可能性を追求する

東レ・カーボンマジック株式会社様ロゴ

CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic、炭素繊維強化プラスチック)を素材とするカーボンコンポジット製品の開発を手掛ける東レ・カーボンマジック株式会社様(以下、東レ・カーボンマジック)を訪問。レーシングカー開発で培った技術を駆使して、創造性豊かな高付加価値製品を生み出し続ける同社の品質保証における取組や課題についてお話をうかがいました。

本事例の要約

  • 課題・背景

    • 設計の自由度が高く、複雑な形状が取り入れられることが多いカーボンコンポジット製品では、3軸制御のプローブでの形状測定が難しかった
    • 事業の拡大にともない、業務に必要な三次元測定機が足りなくなった
  • 導入内容・解決策

    • 5軸制御のスキャニングヘッドが利用可能なCNC三次元測定機「CRYSTA Apex S 9108」を追加導入
  • 効果・展望

    • 三次元測定機を「CRYSTA Apex S 122010」と「CRYSTA Apex S 9108」の2台体制とすることで、複雑な形状測定に対応しつつ、より多くの製品の品質管理に対応

事業概要

軽くて強いCFRP素材のカーボンコンポジット製品を製造

東レ・カーボンマジックは、CFRPを素材とする、「カーボンコンポジット」と呼ばれる製品を製造するメーカーです。炭素繊維と樹脂を原料とするCFRPは、比強度が鉄の10倍であることから、「軽くて強い」素材として知られています。加えて設計自由度が高く、部品の一体化、中空構造など、カーボンコンポジットならではの構造を実現できることから、近年金属製品の代替素材として注目度が急速に高まっています。

カーボンコンポジットを使用した各種製品
(ソーラーカーやレーシングカーなど)

レーシングカー開発で培った製品化技術が、現在の私たちのバックグラウンド

東レ・カーボンマジックの前身は、レーシングカーコンストラクター童夢グループの童夢カーボンマジックです。
「レーシングカーの開発は、カーボンコンポジットをはじめとする複合材料の性能競争です。そんな厳しい環境で、長年にわたり培ってきた製品化技術が、現在の私たちのバックグラウンドになっています」
カーボンマジックの事業についてこう説明するのは、過去にはレーシングカーの開発にも携わってきた、安全・環境部 マネージャーの宮木 隆様です。

安全・環境部 マネージャー 宮木 隆 様

「製品化構想、設計から、試作、量産まで、一気通貫で推進する開発体制もまた、レーシングカー開発で鍛えられた私たちの優位性です」と宮木様。充実した開発体制の下でカーボンマジックは、さまざまな分野の製品・部品を対象に、カーボンコンポジットの特性を最大限に生かして既存製品の可能性を拡大するという、価値創造を目指す研究開発に積極的に取り組んでいます。

オートクレーブ製法を活かし、お客様の要望に細やかに対応。新たな付加価値の提案へ

カーボンコンポジットから部品の形状を作り出す成型方法は複数ありますが、その中でカーボンマジックは、カーボンコンポジットが持つ設計の自由度を最大限に生かせる製法である「オートクレーブ製法」を採用しています。お客様の要望に細やかに対応しながら、同時に新たな付加価値を提案するために、オートクレーブ製法の選択は極めて重要な意味を持つとのことです。

営業・広報部 アシスタントマネージャー 松山 亜紀 様

運用体制

製品の品質保証で三次元測定機がフル稼働

金属材料同様に、高い加工精度が求められる製品も多いことから、カーボンマジックは品質保証にも万全の体制を敷いています。

「私たちが手掛けている製品の中でも特に高い精度を要求されるのは、医療機器の部品です。精密機械を取り付けるための穴位置や穴径などを測るには、どうしてもノギスなどのハンドツールでは不十分なので、こうした箇所をミツトヨのCNC三次元測定機「CRYSTA Apex S 122010」を用いて測っています」と語るのは品質保証部 荘野 悠様です。

同機種を導入したのは2014年。その経緯について荘野様は、「5軸制御のプローブによって3軸では難しかった形状測定が可能になることと、プログラミングが平易で、私たち初心者にも手軽に取り組めたことです」と説明します。

品質保証部 荘野 悠 様

導入内容・解決策

複雑で難しい形状測定を、5軸制御のプローブで可能に。
「CRYSTA Apex S」の2台体制で、多数の製品の品質管理へ

事業の拡大にともない「CRYSTA Apex S 122010」がフル稼働するようになったことから、2017年には「CRYSTA Apex S 9108」を追加でご導入いただきました。現在は、2台体制のCRYSTA Apex Sで、多数の製品の品質管理に取り組んでおられます。

ミツトヨのCNC三次元測定機「CRYSTA-Apex S」を操作する荘野様。5軸制御のプローブが特殊な形状の測定にも対応

今後の展望

設計の自由度が高いカーボンコンポジット製品。
さらなる成長の鍵は「後進の育成」

これまで、10年にわたってカーボンコンポジット製品の品質保証に携わってきたという荘野様。今後、取り組んでいきたいことについて尋ねると「後進の育成」であるとの答えが返ってきました。
「設計の自由度が高く、自由形状が取り入れられることが多いカーボンコンポジット製品には、検査の際に基準がはっきりしないという難しさがあります。困ったときは設計開発部と相談しながら課題をクリアしていくのですが、担当者自身も図面をパッと見て計測方法を発案できるくらいでなければ必要な役割は果たせません。三次元測定機での精密測定が必要な製品はどんどん増えていくでしょうから、今後は品質保証のメンバーの一人ひとりが確かなスキルを備えることを目指して、スキルアップに取り組んでいきます」と語ってくださいました。

航空機や自動車、産業機械、医療機器、さらには宇宙産業やエアロモビリティなど多様な領域へ羽ばたく東レ・カーボンマジック

カーボンコンポジットを使用した製品(ヘリコプター)

レーシングカーから始まった東レ・カーボンマジックの製品開発は現在、航空機、自動車、産業機械、医療機器などから、さらに宇宙産業やエアロモビリティなど、多様な領域に勢いよく拡大しています。
たゆまぬ努力によってカーボンコンポジット製品市場をリードする東レ・カーボンマジックは、今後も未来に向かって邁進されることでしょう。

お客様プロフィール

東レ・カーボンマジック株式会社 様

CFRP(炭素繊維強化プラスチック)を素材とするカーボンコンポジット製品の開発を手掛け、レーシングカー開発で培った技術を駆使して、創造性豊かな高付加価値製品を生み出し続けています。

所在地 滋賀県米原市三吉215-1
設立 2013年4月
事業内容 コンポジット材料に関する調査・研究・開発、コンポジット製品の調査・企画、設計・製作・開発・製造・販売
URL https://www.carbonmagic.com/

*本記事の記載内容は、過去掲載記事に対して一部再編集を行った2021年7月時点の情報です。

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