より良いものを、より効率的に。これまでの「最適」を塗り変え続ける。
T.O入社: 2008年 新卒入社職種: 生産技術
入社のきっかけ
大学・大学院では機械工学を専攻し、機械設計や物理学、流体力学などを幅広く学ぶ。世界中のものづくりを根幹から支えるミツトヨの事業領域に魅力を感じ、入社を決意した。
現在の仕事内容
入社以来、生産技術職に従事。入社後約5年間は、工程設計や原価低減、工程改善活動を行い、現在は、生産設備・製造ラインの起案、導入、立上げを手掛けている。
自動搬送の粉体塗装ライン
導入プロジェクト、始動。
原材料、生産設備、生産工程など…、さまざまな要素・要件を組み合わせ、最適な製造ラインを築きあげることが生産技術の仕事です。ひとつの判断で、劇的に生産性が高まることも、逆に大きなロスが発生してしまうこともある。だからこそ、細部への繊細な気配りと、全体を見渡す広い視点が大切なポジションです。そんな生産技術職の醍醐味を強く感じたのは、入社して数年が経った頃に携わった、製品の仕上げに欠かせない塗装ラインの導入プロジェクト。古い工場の閉鎖に伴い、近隣エリアの郷原工場に新たなラインを立ち上げるというものでした。旧工場の設計ではオペレーターが手作業で行う工程が多く散見され、生産効率や労働時間の面での課題を抱えていました。それらを解消し、より効率化されたラインを設計することが私に与えられたミッション。想定されていた設備の設置面積は500㎡の大型案件ということもあり、少なからずのプレッシャーを感じながら、プロジェクトを始動させていきました。
細部へのこだわりと追求が、
大きな成果を生んだ。
このプロジェクトで、特に注力したポイントが塗料の焼付条件の見直しと効率的な搬送方法の実現です。粉体塗装加工は、粉末塗料を製品に吹きつけ後、高温で焼き付けていくのですが、加工を施す対象の製品は、手のひらサイズのものから、測定器の土台となる1m超のものまで多種多様。それぞれ適した焼付温度や焼付時間も異なるので、細かな調整が必要となります。旧工場ではそうした工程をオペレーターが手作業で行っており、過度な作業負担や人的なミス・ロスが生まれてしまっていたのでした。特に、焼付炉の温度を製品毎に調整するロスが大きかったため、焼付温度を一定にし、焼付時間を変動させることで、すべての製品に対応できないかと考え、検証を進めました。焼付条件が悪いと、塗装の密着性や変色など品質上の問題を起こすため、何度も検証を重ねること数ヶ月。社内外の有識者にも協力を仰ぎながら、最終的に焼付温度一定にし、焼付時間で塗装品質をコントロールすることに成功したのです。加えて、多品種の製品を効率的に搬送するため、パワー&フリーコンベアという特殊な搬送方法を採用し、製品の取付時に焼付時間を設定することで、設備が自動的に最適な搬送経路を選択、実行する管理システムを導入しました。これにより塗装ライン全体の生産性を約2倍に改善することができました。成果が認められ、その年の社内表彰を受けたことも励みにもなりましたね。自分の考えたアイデア・設計によって、大きな成果が形となって現れる。そんな、生産技術の仕事の面白さや奥深さを強く感じられた経験となりました。
その時その時代の、
「最適」を目指して。
生産技術の仕事は、設備の新規導入や製造ラインの立ち上げだけでなく、日々の保守点検を通じて安定した量産体制を維持するのも重要です。そのためには、定期的に製造現場を訪れ、製造スタッフの声に耳を傾けることが欠かせません。些細な会話や製造スタッフが感じるわずかな違和感の中に、問題点や改善のヒントが潜んでいることも。生の情報をキャッチアップしながら、常に状況に応じた最適な体制を実現するための改善活動に尽力しています。また、世の中の最新技術を積極的に取り入れることや、ミツトヨ独自のコア技術を磨き上げることも生産技術の担当者として意識しています。個人的には塗装の専門領域をさらに広げ、コーティングやメッキ、表面処理、洗浄技術などの知見を深めることで、「この分野は、小川に聞け!」と言われるような技術者になりたいですね。もちろん、トレンドであるIoT技術を駆使したスマートファクトリーや自動化に関わる知識も吸収していきたいと思っています。ものづくりの現場は、生き物のように変化します。最適な製造ラインの形や定義も変わるからこそ、常に改善を重ね、知識や技術をアップデートし、その時その時代における最適な状態を目指し続ける。これが、世界のものづくりを支えることにつながっていくのだと思っています。
私が見つめる「測る」の先独自技術の習得と、伝承。
ミツトヨが持つ独自技術をしっかりと自分のものにし、さらに進化させていきたいと思っています。また、同じ部署には若手メンバーも多いため、次の世代にも技術を伝承させ、精密測定で世界のものづくりを支えるミツトヨブランドをこれからも守っていきたいです。