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測定工具の測定誤差実例とワンポイント
弊社 品質保証部 内田 篤

5. ハイトゲージ
 高さを測定する測定工具です。こちらも生産現場では大活躍です。
 てこ式ダイヤルゲージを組み合わせての寸法測定は勿論、スクライバでワークへ罫書くこともできます。

  1. ゴミや埃
     マイクロメータやノギスと同様でスクライバなどの測定面のゴミは勿論ですが、精密石定盤や作業台と接しているベースの裏面にゴミなどがあると安定した測定結果が得られない場合がありますので、必ず測定前の清掃が必要となります。
  2. 測定位置
     ハイトゲージもアッベの原理に従っていない測定工具です。
     従って、スクライバやてこ式ダイヤルゲージなどの測定位置と支柱との距離が遠くなると、測定精度への影響が生じる場合がありますので、可能な限り測定位置と支柱との距離を短くする必要があります。
  3. 運搬
     あまり知られていない、気が付きにくい要因です。
     ハイトゲージの支柱は、非常に高い精度で加工・組み立てられており、ハイトゲージの精度は支柱の精度と言っても過言ではありません。運搬・移動する際に支柱を掴んでしまうと、精度の要である支柱が変形してしまい測定誤差が生じる場合がありますので、スライダに手を添えてベースを持ち運搬・移動する必要があります。
     ハイトゲージのスクライバは、先端が鋭利な形状であり、怪我をする危険がありますので注意が必要です。使用後はスクライバを取り外すことが望ましく、取り外すことが出来ない場合は、精密石定盤などからスクライバがはみ出さないようにして保管して、職場の安全確保をお願いします。
6. ゲージブロック
 高精度な長さ基準の代表格であり、あらゆる計測器の校正から製造現場の治工具管理、計測器の基点調整など広範囲で使用され、使用用途によって精度の異なる等級も選べますが、高精度なため、取扱いも注意が必要となります。
 なお、参考までにゲージブロックの呼称は、「ゲージブロック」「ブロックゲージ」と、二つの呼び名がありますが、ISOでは「ゲージブロック」、JISでは「ブロックゲージ」と呼ばれています。

  1. ゴミや埃
     ゲージブロックの測定面に付着したゴミや埃は寸法に直接影響しますので必ず清掃が必要です。
     その際、毛羽立たない工業用のクリーニングペーパーや面拭き紙を使用して優しく拭きあげる作業が必要となります。
  2. 温度変化
     鋼製のゲージブロックでは温度が寸法に影響します。使用前には、温度ならしが必要で、素手で触ってしまうと体温によって寸法も変化してしまうため手袋やピンセットなどで温度対策が必要となります。

  3.  湿気または素手で扱った際の油分によって錆が発生してしまう場合があります。使用後には必ず防錆処理が必要となります。
  4. 衝撃
     誤って落下させてしまった場合や、ゲージブロックに衝撃が加わった場合は、変形やかえりが発生し、ゲージブロックの精度が変化する場合があります。変形やかえりが発生してしまったゲージブロックを使用して計測器を校正した場合、測定結果に影響が出る場合もあります。衝撃が加わった際にはオプチカルフラットを使用して変形やかえりの確認や再校正をする必要な場合があります。
     鋼製のゲージブロックの弱点を克服したセラミックス製のゲージブロックは、温度の影響を受けにくく、錆びない、衝撃によるかえりが出にくいゲージブロックで、使用環境などを考慮して選定する事を推奨します。
7. アナログ製品の視差
図7
 現在も、アナログタイプの測定工具が多く使用されています。アナログタイプの目盛を読み取る際、目盛や指針に対して斜めの位置から読み取った場合、角度に比例して測定誤差(視差)が発生します(図7)。 視差が生じた状態で基点調整をした場合、最悪の場合はすべて寸法不良となる場合がありますので、必ず目盛の正面から読み取る必要があります。
 最後に各々の機構や機能に関連する要因もありますが、すべての測定工具に共通する測定誤差の要因は、「ゴミや埃」「衝撃」「温度変化」の3要素が主な要因と言っても過言ではありません。
 測定工具は、工具と言われていますが、ドライバーやスパナとは異なり寸法公差0.001oをはかる非常にデリケートな精密機械であり、取扱いには注意が必要です。防水・防塵タイプでもメンテナンスを怠ると、僅かな期間で作動が悪くなり精度に影響が生じます。一方、充分なメンテナンスを行い「30年以上、精度を保ち現役で活躍」しているマイクロメータやノギスもあります。測定工具は、生産設備や治工具と同様に使用前の確認と使用後の点検、適切なメンテナンスを行えば測定誤差要因の発生を防げます。
 弊社の経営理念“精密測定で社会に貢献する”の一環として、測定工具を正しく、末永くご使用いただくためのポイントを記載した冊子「測定工具ワンポイントチェック」や「精密測定機器の豆知識」を配布し、弊社のホームページでも公開しています。皆様の大切な製品の測定において、誤った使用方法で測定誤差を発生させないよう、皆様の「はかる」にお役に立てれば幸いです。
大河出版「2016年9月号 ツールエンジニア」より引用
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