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NEW TECHNOLOGY TREND 36



現場の測定工具


川崎研究開発センタ 商品開発部 林田 秀二
現場対応形デジタル測定工具の要望

 規模の大小や業種を問わず、あらゆる製造業においては最もポピュラーな精密測定工具としてノギスやマイクロメータが古くから使用されています。これら測定工具の分野では二十数年前からデジタル化が進み、読み間違いの解消やデータ出力機能による測定値の有効活用といった付加価値によって、生産性の向上に大きく貢献してきました。しかし、精密な電子部品を使用するこれらのデジタル測定工具は、水や油などによってミスカウントを発生するなどの問題があったため、環境の良い検査室などではデジタルタイプ、切削液がかかるような厳しい環境の加工現場では目盛り式のメカニカルタイプという使い分けがされていました。

現場対応形デジタル測定工具の変遷

 このような中、当社は2000年に従来の定説を覆す、保護等級IP65を実現した革新的なデジタルノギス「CD-Gシリーズ」を発売し、市場の大反響を得ました。以来、加工現場へのデジタル測定工具の普及が進み、2003年にはより苛酷な使用条件にも耐えられるよう保護等級をIP66にレベルアップしたデジタルノギス「CD-Pシリーズ」を発表し、マイクロメータにおいても保護等級IP65を実現したデジタルマイクロメータMDC-PJ/MJシリーズ(写真1)を商品化しました。さらに2004年には最高水準の保護等級IP67を達成したデジタルノギス「CD67-PSシリーズ」(写真1)、2005年には、更なる進化を遂げたデジタルノギスとして、ソーラタイプでは初めて保護等級IP67を実現した“スーパキャリパ CD67-SPシリーズ”(写真1)と、インジケータにおいては世界最高レベルの保護等級IP66を達成したデジタルインジケータ “ID-N,ID-Bシリーズ”(写真1)を商品化し、デジタル測定工具全商品群に現場対応機種をラインナップしました。
写真1 クーラントプルーフデジタル測定工具
写真1
クーラントプルーフデジタル測定工具

加工現場で要求される性能

 一般的に保護等級の防水レベルは水に対する保護であるが、実際の加工現場(写真2)ではクーラント液等に対する耐油性を有していなければ、いかに強力な防水性能を発揮していても、長期間使用するうちにプラスチック部品などに劣化が始まり、防水性が劣ってくることはもちろん、最悪の場合破損します。現場対応形測定工具には、防塵・防水性に加え、水以外のクーラント液等に対する耐油性が要求されます。当社の現場対応形デジタル測定工具は、プラスチック部品の全てに耐油性の高いエンジニアリングプラスチックを採用し、クーラントの飛沫などが直接かかる加工現場で長期間使用しても劣化、変色等に対して極めて強固です。また、いくら防水性能が高くてもデータ出力時にも同じ性能が発揮されなければ、デジタル測定工具としてのメリットが半減してしまいます。当社は独自の防水コネクタによりデータ出力接続ケーブルを取り付けた状態(写真3)でも本体部と同レベルの防水性を実現しています。
写真2 加工現場使用例
写真2
加工現場使用例

写真3 出力ケーブル
写真3
出力ケーブル

信頼性

 当社クーラントプルーフ対応デジタル測定工具は、保護等級の規格(IEC60529)に定められた方法(写真4)に従って測定器への直接噴流試験を実施するとともに、出荷前の製品全数についてエアリーク試験(写真5)を実施し、防水性能を確実に保証しています。この他にも過酷な温度環境下での信頼性を実証するための温度環境試験装置や長時間の連続動作をテストする作動環境試験装置、スイッチ機能などの電装機能を検査する電装部検査装置を用いて厳しく性能を評価し、トータルな品質を保証しています。
写真4 防水試験
写真4
防水試験

写真5 エアリーク試験機
写真5
エアリーク試験機

今後の動向

 現場対応形に限らずデジタル式測定工具は、目盛式のメカニカルタイプの測定工具のような使い勝手で、データ管理や読み間違いのないデジタルのメリットをいかに引き出せるかが鍵となっています。
 当社はメカニカルタイプの特徴である原点の保持という課題に対しては、デジタルノギスとデジタルインジケータにおいて、『ABSOLUTE』リニアエンコーダにより電源ON毎の原点セットを不要にしました。電池寿命については、電池不要のソーラ式デジタルノギス、あるいは低消費電力技術による電池の長寿命化を図りランニングコストの低減を図ってきました。
 今後は耐環境性能をさらに充実させると同時に、さらなるアブソリュート化の推進と低消費電力化、小形・軽量化を図ることにより、加工現場でもメカニカルタイプから脱却し、付加価値の高いデジタル式の測定工具を活用したいという、お客様の要望に答えていく所存です。

『株式会社大河出版発行 ツールエンジニア 2006年11月号より』
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