画像測定機の基礎知識

画像測定

画像測定機では、主に次の内容の処理を行っています。

エッジ検出

XY平面内の測定

オートフォーカス

ピント合わせ/Z測定

パターン認識

アライメント/位置決め/欠損チェック

画像の記憶

画像は、一つひとつの画素の濃淡が集まって構成されています。ちょうど、目の細かい方眼紙に、一マスずつ塗りつぶして絵にしているのと同じです。

グレースケール

コンピュータは画像を内部で数値に置き換えて扱っています。その数値は画素ごとに管理されています。この数値をどのくらいのしきい値で管理するかによって、画質が変わってきます。この諧調は2値化と多値化の種類があり、一般的には256階調(グレースケール)で管理されています。

2値化

あるレベル以上の明るさはすべて白とし、それ以下はすべて黒としています。

多値化

黒から白の間を256分割して濃度を表現します。そのため、忠実な画像が表示できます。

寸法計測

画像自体は、画素で構成されています。したがって、測定したい間にいくつの画素があるかカウントし、それに、1画素の大きさを掛ければ長さに換算することが可能です。例えば下図のような四角いワークを例に、全長が300画素あったとします。
撮影倍率時の画素サイズが10 μm と仮定すると…
10 μm×300画素=3000 μm=3 mm となります。

エッジ検出

実際にワーク端面(エッジ)を、画像からどのようにして検出しているのか、次に白黒画像を例に説明します。エッジはある任意の範囲から行われます。この範囲を視覚的に表したものがツールと呼ばれ、ワーク形状や測定内容にあわせ、複数用意されています。

ピクセルがもつグレースケールの例

244 241 220 193 97 76 67 52 53 53
243 242 220 195 94 73 66 54 53 55
244 246 220 195 94 75 64 56 51 50

高分解能測定

エッジ検出の分解能を高めるための処理としてサブピクセル処理を行います。
隣接する画素情報から補間曲線を求めてエッジを検出させます。これにより、1画素よりも高い分解能で測定を行うことができます。

複数画面にわたる測定

測定部位の大きさによっては、1画面内に収まらない場合があり、測定できません。そこで、通常CCDセンサとステージを制御し画像を取得した位置情報を内部で管理しています。そのため、右図のように大きなサイズの円でも、ステージを移動しながらエッジを検出していくことで測定が可能です。

測定点の求め方

このように、一つひとつの測定位置が実データとして管理しながら測定を行うため、1画面に収まらない寸法でも問題なく測定が可能です。

機械本体系

実際の座標値は X=(Mx+Vx) Y=(My+Vy) Z=Mz となります。

画像系

オートフォーカスの原理

CCDカメラの画像内からだけでは、平面測定は行えますが高さ測定は行えません。そこで、通常は高さ測定のオートフォーカス(AF)機構を備えています。ここでは一般的な画像を用いたAFの仕組みについて説明します。

Z軸を上下に移動しながら、画像を解析します。解析はコントラストで鮮明に見えていれば、コントラストはピークになり、ピントがずれていれば、コントラストが低くなります。したがって、コントラストがピークを示した高さがピントの合った位置ということになります。

ピントによるコントラストの変化

エッジがぼやけているためコントラストが低い

エッジが鮮明でコントラストが高い

ISO10360-7(JIS B7440-7.2015)の概要

画像測定機専用の受入検査国際規格ISO10360-7(JIS B7440-7.2015)が2011年6月1日に発行されました。
いくつかの検査項目がありますが、その中から、長さ測定誤差Eとプロービング誤差PF2Dの検査方法ついて説明します。

長さ測定誤差 E

7つの異なる位置で5つの異なる長さを3回繰り返し測定(計105回)
測定位置は、測定空間4対角と任意の3方向
(初期設定:各軸に平行EX, EY, EZ
寸法標準器の熱膨張係数αが2×10-6/K以下のとき、8~13×10-6/Kの基準器での測定が追加される。

プロービング誤差 PF2D

視野内の25の異なった場所を用いて基準円を円周均等に25点(14.4°ピッチ)測定したときの、25点からから計算される最小二乗円の中心から各測定点までの距離の幅(Max-Min)。