スケールユニットの基礎知識

用語解説

アブソリュート

すべての位置座標を直前に測った座標値に関係なく、固定された原点から測定するような測定系をいいます。

インクリメンタル

すべての変位を直前に測った位置から測定するような測定系をいいます。

原点オフセット

座標系の原点を、ある固定した原点に対してずらすことので きる機能です。この場合は永久的な原点が記憶されていることが必要です。

原点復帰

機械上に取り付けられたリミットスイッチを利用して、減速させながら各軸を機械固有の位置へ精度よく停止させる機能です。

シーケンス制御

あらかじめ定められた順序にしたがって制御の各段階を遂次進めていく制御です。

数値制御

工作物に対する工具の位置を、それに対応する数値制御で指令する制御です

バイナリー出力

2倍単位で桁上げが生じる2進数(20、21、22、23、...)です。

RS-232C

比較的近くの伝送装置間のデータのやりとりをするためのシリアル・インターフェースの一種で、1969年アメリカのEIAで制定された規定です。主にパソコンと外部機器とを接続する場合に使用する通信手段です。

ラインドライバ出力

動作速度が数十~数百nsと速く、伝送速度が数百mと比較的長いのが特長です。リニヤスケールシステムではNCコントローラとのI/Fに差動電圧計ラインドライバ(RS422A準拠)が用いられます。

BCD

10進数の各桁を構成する0~9の数値を4ビットのバイナリで表現する方式です。データは出力のみの単方向で、出力 態はTTL、またはオープンコレクタです。

RS-422

平衝型のインターフェース規格です。平衝型というのは、往きと復りとが、完全に対称になるように構成されたものです。RS-422は伝送に優れ、電源が+5Vの単電源でよいという点でも優れています。

指示精度

スケールを最大ストローク送ったときの(測定値)−(真値) の最大値をいいます。測長ユニットにはISOのような国際規格がないため、各社まちまちの精度表示をとっています。カタログ表示値は、レーザ測長器を基準として求められた弊社でのスケール精度表示方法です。

狭範囲精度

スケールに刻まれた目盛格子は、種類により異なりますが、通常1ピッチ20 μmを使用しています。この1ピッチ内を分解能のピッチ間隔(例えば1 μm)で測定した精度をいいます。

リニヤスケールの精度

指示精度

リニヤスケールの精度は、下図のような精度検査装置においてリニヤスケールによる測定値とレーザ測長器による基準値と一定間隔で比較することで値付けされます。検査環境は20°Cで、この温度での精度となります。その他、検査条件、規格値は社内規格に準じて検査が行われます。

精度検査装置 概要図

各測定点における精度(誤差)の値は、以下の式に基づき求められます。
誤差=レーザ測長器の基準値−リニヤスケールによる測定値
ここで、「精度」または「誤差」の表現は、同じ意味合いで用いられています。有効長における各測定点の誤差をグラフにプロットしたものを精度線図と呼びます。
その精度線図を基にして、誤差の最大値と最小値の範囲でリニヤスケールの指示精度を表記します。表記方法には以下の二通りあります。

①誤差の最大値と最小値の範囲の大きさをaで表記
aが指示精度となります。この規格値は、(α+βL) μmという換算式で示されます。ここでLは有効長(mm)、α、βは機種ごとに設定された係数です。
例えば、指示精度の規格値(3+3L/1000) μm、有効長1000 mmのリニヤスケールでは、aは6 μm となります。

②誤差の最大値と最小値の範囲の大きさを±a/2で表記誤差の最大値と最小値の中心値を0として、最大値を+a/2、最小値を−a/2で表記し、誤差の範囲の大きさを±a/2で表記します。この表記は主にセパレート形スケールユニットに適用します。

①と②の表記において、①のa、②の±a/2は同じ指示精度の規格値となります。リニヤスケールは、一定ピッチの目盛をもつ直線 スケールを基準にして移動量、変位量を検出しています。目盛を検出することで、目盛と同ピッチの2相正弦波信号が得られ、それ らを電気回路で内挿することで直線スケールの目盛より細かい読み取りもできるようになっています。内挿とは2相正弦波を補間 し、分解能に相当するパルス信号に分割することです。例えば、目盛ピッチが20 μmの場合、1 μm分解能での読み取りが可能です。 ここで、この内挿処理の正確さによって目盛ピッチ範囲内において誤差が生じます。これを内挿精度と呼びます。リニヤスケール の指示精度の規格値は、前記一定間隔で検査した誤差と内挿精度を含めたものが対象となります。