歯車用語と誤差の定義

歯車諸元

歯数(z)

1つの歯車の歯の総数です。

モジュール(m)

歯の大きさを表す値です。歯車同士をかみ合わせるにはこのモジュールが同じでなければなりません。

転位係数(x)

歯車を加工する際に工具の位置を基準位置からずらし、歯の強度やかみ合い状態を調整します。
この工具のずらし量を「転位量(xm)」と呼び、転位係数は転位量をモジュールで割った値です。

圧力角(α)

歯形を決める要素であり歯面の傾きを表ます。圧力角は一般的に20°が使われており、歯形を決める要素となります。

ねじれ角(β)

はすば歯車のように、平歯車の歯がつる巻き上にねじれた歯車において、そのねじれている角度です。
また、歯車の中心軸に対して横から見たときに、歯車の歯が左上がりのものを「左ねじれ」、右上がりのものを「右ねじれ」と呼びます。

歯底円直径(df)

歯の根本(歯底)を結んだ円の直径です。

基礎円直径(db)

インボリュート曲線を描くときの起点となる円柱の直径です。

基準円直径(ピッチ円直径)(d)

歯車対の歯と歯のかみ合う点をピッチ点と呼び、そのピッチ点を結んだ円の直径がピッチ円直径です。

歯先円直径(da)

歯の先端(歯先)を結んだ円の直径です。

歯幅(b)

歯車の軸方向の歯の長さです。

歯形誤差

全歯形誤差(Fa)

歯形評価範囲内で、実歯形を計歯形で挟んだ時の最大値と最小値の値です。

歯形形状誤差(ffa)

歯形評価範囲内で、実歯形をその平均線に平行になる線で挟んだときの最大値と最小値の幅です。

歯形こう配誤差(f)

歯形評価範囲内で、実歯形の平均線が、評価範囲内の開始・終了位置と交わる点の設計歯形方向の距離です。

歯形クラウニング(Cα)

凸状の曲率による歯形の修整(量)です。
歯形クラウニングは、歯に力が加わり歯が弾性変形しても、相手の歯に干渉することを避けるために行われます。

歯すじ誤差

全歯すじ誤差(Fβ)

歯すじ評価範囲内で、実歯すじを設計歯すじで挟んだときの最大値と最小値の幅です。

歯すじ形状誤差(f)

歯すじ評価範囲内で、測定された実歯すじをその平均線に平行になる線で挟んだ時の最大値と最小値の幅です。

歯すじ傾斜誤差(f)

歯すじ評価範囲内で、測定された実歯すじの平均線が、評価範囲内の開始・終了位置と交わる点の設計歯すじ方向の距離です。

歯すじクラウニング(Cβ)

凸状の曲率による歯すじの修整(量)です。
歯すじクラウニングは、歯当たりを歯幅の中央部にに集中させるため(端部に集中させないため)に行われます。

ピッチ誤差

累積ピッチ誤差(Fp)

基準とした歯と他の任意の歯までの実際のピッチの和と理論的なピッチの和との差のうち、最大値と最小値の幅です。

単一ピッチ誤差(fp)

理論的なピッチと、測定した実際の各歯のピッチとの差のうち、絶対値の最大値です。

隣接ピッチ誤差(fu)

隣り合った2つのピッチにおいて、現在測定したピッチと、一つ前に測定したピッチとの差の絶対値のうち、最大値が隣接ピッチ誤差です。

歯厚評価

歯厚(Sn)

一つの歯の両歯面の間にある基準円(ピッチ円)の弧の長さです。
各歯の基準円上における理論的な歯厚と測定して求めた歯厚との差を歯厚誤差と呼びます。

歯溝(en)

一つの歯溝の両歯面の間にある基準円(ピッチ円)の弧の長さです。

オーバーボール法 / オーバーピン法(MdK / MdR)

歯車の直径の両端に近い位置にある歯溝に置いた測定子(玉、ピンなど)間を測定した距離です。MdKは玉を使うとき、MdRはピンを使うときです。

一つのオーバーピン法(MrK)

歯溝に置いた測定子(玉、ピンなど)と歯車中心との距離です。
歯車中心に対して反対側の歯溝がない歯車など、通常のオーバーピン法が使えない場合に用いられます。

またぎ歯厚(Wk)

連続する複数枚(k)の歯の、最も外側の二つの歯面に接する平行な二平面間の距離です。挟んだ歯の枚数を「またぎ歯数」と呼びます。

歯溝の振れ(Fr)

理論的にピッチ円上で接する測定子(ピン、玉など)を歯溝の両側の歯面に接触させたときの半径方向位置の差の最大値と最小値の幅です。