デジマチックインジケータ・ダイヤルゲージ・テストインジケータの基礎知識

各部の名称

デジマチックインジケータ原点設定について

ダイヤルゲージ・デジマチックインジケータのご使用に際して

  1. スピンドルへの注油はしないでください。塵埃などを誘引し、作動不良となるおそれがあります。
  2. スピンドルの作動が悪くなった場合は、乾いた布またはアルコールを少量含ませた布でスピンドルの上下摺動面を拭いてください。状況が改善されない場合は、当社での修理対応をお薦めいたします。
  3. 校正または測定前は、測定子を上下に動かし、作動が滑らかなことと、ゼロ点の安定性を確認してください。

ダイヤルゲージ・デジマチックインジケータの取付け方法

ステム取付け方式 取付け方式 ステムねじ止め方法
ステムすり割締付方法
注意点
  1. 取付け穴公差:ø8G7(+0.005~0.02)
  2. 締付ねじ:M4~M6
  3. 締付位置:ステム下端から8 mm以上
  4. 最大締付トルク:M5ねじ1点締め時150 N・cm
  5. 締付トルクが強すぎるとスピンドルの作動が悪くなることがあるためご注意ください。
  1. 取付け穴公差:ø8G7(+0.005~0.02)
耳金締付方式 取付け方式
注意点
  1. 用途に応じて耳金の向きを90°変えることができます。(出荷時は縦向き)
  2. ただし、1シリーズの1部の機種(No.1911T-10、1913T-10、1003A)は横向きに変えられません。
  3. 測定面に対しスピンドルが直角になるように固定してください。傾きが大きくなると測定誤差の要因となります。

ダイヤルゲージ・デジマチックインジケータ測定子

  1. ねじ部寸法は、M2.5×0.45(長さ5)に統一されています。
  2. 測定子を製作する際は、ねじ根元の不完全ねじ部を0.7以下としてください。

ダイヤルゲージ・デジマチックインジケータの使用姿勢

姿勢 備考
縦姿勢
(測定子下向き姿勢)
-
横姿勢
(スピンドル水平姿勢)
スピンドル水平姿勢または測定子上向き姿勢で使用される場合は、測定子下向き姿勢に比べ測定力は低くなります。ご使用前に、必ず作動および、長針またはデジタル表示の戻りを確認してください。
デジマチックインジケータ・ダイヤルゲージの姿勢による作動保証については、総合カタログの各商品紹介ページでご確認ください。
逆姿勢
(測定子上向き姿勢)

最大許容誤差

単位:μm

外枠径50mm以上のダイヤルゲージの計測特性における最大許容誤差(MPE) 外枠径50mm未満のダイヤルゲージおよび
バックプランジャ形ダイヤルゲージの計測特性における最大許容誤差(MPE)
目量(mm) 0.01 0.005 0.001 0.01 0.005 0.002 0.001
測定範囲(mm) 1
以下
1を超え
3以下
3を超え
5以下
5を超え
10以下
10を超え
20以下
20を超え
30以下
30を超え
50以下
50を超え
100以下
5
以下
1
以下
1を超え
2以下
2を超え
5以下
1
以下
1を超え
3以下
3を超え
5以下
5を超え
10以下
5
以下
1
以下
1
以下
戻り誤差 3 3 3 3 5 7 8 9 3 2 2 3 4 4 4 5 3.5 2.5 2
繰り返し精密度 3 3 3 3 4 5 5 5 3 0.5 0.5 1 3 3 3 3 3 1 1
指示誤差 1/10回転 5 5 5 5 8 10 10 12 5 2 2 3.5 8 8 8 9 6 2.5 2.5
1/2回転 8 8 9 9 10 12 12 17 9 3.5 4 5 11 11 12 12 9 4.5 4
1回転 8 9 10 10 15 15 15 20 10 4 5 6 12 12 14 14 10 5 4.5
全測定範囲 8 10 12 15 25 30 40 50 12 5 7 10 15 16 18 20 12 6 5

※1回転未満ダイヤルゲージのMPEについては、任意の1/2回転および任意の1回転の指示誤差は規定しない。

※最大許容誤差は、JIS B 0680に規定する標準温度20°Cにおける値とする。

※製造業者がダイヤルゲージの計測特性を指定していない場合は、測定範囲内のいかなる位置およびいかなる姿勢でも最大許容誤差(MPE)および測定力の許容限界(MPL)の値を満たしている必要があります。

ダイヤルゲージB 7503:2017(JIS/日本産業規格抜粋)

測定項目 適用機種 測定方法
(固定ゼロ点法)
評価方法
(移動ゼロ点性能評価法)
測定例
指示
誤差
全測定範囲
指示誤差
1回転未満
指示誤差
ダイヤル
ゲージ
および
多回転
ダイヤル
ゲージ
支持台にダイヤルゲージを保持し、測定子 を行き方向へ順次移動させ、次に示す 測定点の指示誤差を読み取る※1。
  1. 始点から2回転までは1/10回転ごと※2
  2. 2回転から5回転までは1/2回転ごと
  3. 5回転から10回転までは1回転ごと
  4. 10回転から50回転までは5回転ごと
  5. 50回転から10回転ごと
次に終点から長針を3目盛以上測定子 を押し込んだ後に測定子を戻り方向へ 順次移動させて、行き方向と同一の測定 点における指示誤差を読み取る。
行き方向および戻り方向の全測定点における指示誤差に対する最大値と最小値との差を求める。
1/10回転
指示誤差
始点から2回転までの行き方向および戻り方向において、隣接する1/10回転ご との測定点に対する指示誤差の差の 大値を求める※3。
1/2回転
指示誤差
多回転
ダイヤル
ゲージ
始点から5回転までの行き方向および戻り方向において、1/2回転ごとの測長範囲に対する指示誤差の最大値と最小値との差の最大値を求める。
1回転
指示誤差
始点から10回転までの行き方向および戻り方向において、1回転ごとの測長範囲に対する指示誤差の最大値と最小値との差の最大値を求める。
戻り誤差 1回転未満
ダイヤル
ゲージ
および
多回転
ダイヤル
ゲージ
全測定点の行き方向および戻り方向の同一測定点における指示誤差に対する差の最大値を求める。
繰り返し精密度 1回転未満
ダイヤル
ゲージ
および
多回転
ダイヤル
ゲージ
支持台にダイヤルゲージを保持し、測定範囲内の任意の位置に測定子を押し込んで戻り方向に5回、測定子を急激にまたは穏やかに作動させ、各回の指示値を読み取る。 5回の指示値の最大差を求める。
測定力 支持台にダイヤルゲージを保持し、測定子を行き方向および戻り方向に連続かつ徐々に移動させて、始点および終点の測定力を読み取る。 読み取った測定力の最大値(最大測定力)および最小値(最小測定力)並びに同一測定点の行き方向と戻り方向との測定力の差を求める。

※1:指示誤差を読み取る方法は、長針を目盛に合わせて測定器の入力量を読む方法、または測定器の移動量に合わせてダイヤルゲージの指示を読む方法のどちらを選択してもよい。

※2:1回転未満のダイヤルゲージの測定箇所は、10目盛ごとに指示誤差を読む。

※3:1回転未満のダイヤルゲージの測定箇所は、隣接する10目盛ごとの測定点に対する指示誤差の差の最大値を求める。

ダイヤルゲージ JIS B 7503:2017に対する当社の対応

  1. 完成品検査は縦姿勢で行い精度保証をしています。また、標準付属の検査成績書に検査データを記載しています。
  2. 横姿勢、逆姿勢での校正結果をご希望される場合は有償で発行します。

デジタルインジケータゲージ JIS B 7563:2021(JIS/日本産業規格抜粋)

測定項目 測定方法
(固定ゼロ点法)
評価方法
(移動ゼロ点性能評価法)
測定例
指示誤差 部分測定範囲行き指示誤差
PMPE
支持台にデジタルインジケータゲージを保持し、測定子を行き方向へ順次移動させ、測定点の指示誤差を読み取る。次に、終点から測定子を0.1mm以上押し込んだ後に測定子を戻り方向へ順次移動させて、行き方向と同一の測定点における指示誤差を読み取る。
  1. a)部分測定範囲の測定点は、始点から最小表示量の50倍の範囲を始点を含み6点以上(等間隔が望ましい)とする。
  2. b)全測定範囲の測定点は、始点および終点を含み11点以上(等間隔が望ましい)とする。
  3. c)指示誤差を読み取る方法は、デジタル表示値に合わせて測定器の入力量を読む方法、または測定器の移動量に合わせてデジタル表示値を読む方法のいずれかを選択してもよい。
行き方向の部分測定範囲の測定点における指示誤差に対する最大値と最小値との差を求める。
全測定範囲行き指示誤差
EMPE
行き方向の全測定範囲の測定点における指示誤差に対する最大値と最小値との差を求める。
  1. a)全測定範囲行き指示誤差を求めるには、部分測定範囲の測定点を含める。/li>
戻り誤差
HMPE
部分測定範囲および全測定範囲の行き方向および戻り方向の同一測定点における指示誤差に対する差の最大値を求める。
繰返し精密度
RMPE
支持台にデジタルインジケータゲージを保持し、測定範囲内の任意の位置に測定子を押し込んで戻り方向に5回作動させる。測定子の作動は急激および緩やかの両方確認し、各回の指示値を読み取る。 5回の指示値の最大差を求める。
測定力
MPL
支持台にデジタルインジケータゲージを保持し、測定子を行き方向および戻り方向に連続かつ徐々に移動させて、始点および終点の測定力を読み取る。 読み取った測定力の最大値(最大測定力)および最小値(最小測定力)並びに同一測定点の行き方向と戻り方向との測定力の差を求める。

デジタルインジケータゲージの最大許容誤差(MPE)

特性項目 最小表示量(mm) 0.01 0.001 0.0005
部分測定範囲(mm) 0.5 0.05 0.025
測定範囲(mm) 15以下 15を超え
30以下
30を超え
60以下
60を超え
100以下
15以下 15を超え
30以下
30を超え
60以下
60を超え
100以下
15以下 15を超え
30以下
30を超え
60以下
60を超え
100以下
部分測定範囲行き指示誤差 PMPE(μm) 20 40 3 5 3 5
全測定範囲行き指示誤差 EMPE(μm) 20 40 3 5 3 5
戻り誤差 HMPE(μm) 20 3 3
繰返し精密度 RMPE(μm) 20 2 2

デジタルインジケータゲージ JIS B 7563:2021に対する当社の対応

  1. 完成品検査は縦姿勢で行い精度保証をしています。また、標準付属の検査成績書に検査データを記載しています。
  2. 横姿勢、逆姿勢での校正結果をご希望される場合は有償で発行します。

てこ式ダイヤルゲージ B 7533-2015(JIS/日本産業規格抜粋)

番号 測定項目 測定方法 測定箇所 評価方法 説明図
1 全測定範囲行き
指示誤差
てこ式ダイヤルゲージを保持し、測定子静止点付近に指示および指示誤差をゼロとなるように定めた起点を基準点とした後、測定子を行き方向へ移動させ、各測定点の指示誤差を読み取る。次に測定子を測定範囲の終点から3目盛以上移動させたのちに測定子を戻し方向に移動させて、行き方向と同一の測定点における指示誤差を読み取る。(行き方向とは、てこ式ダイヤルゲージの測定子に対する反測定力方向、戻り方向とは測定力方向をいう。) 起点から終点までの行きと戻り両方向で10目盛ごと 行き方向の全測定点における指示誤差に対する最大値と最小値との差を求める。
2 10目盛
指示誤差
起点から終点までの行き方向において、隣接した10目盛ごと の測定点に対する指示誤差の差の最大値を求める。
3 1回転指示誤差 起点から終点までの行き方向において、固定ゼロ点法で測定した、1回転ごとの測長範囲に対する指示誤差の最大値と最小値との差の最大値を求める。
4 戻り誤差 全測定点の行きと戻りの同一測定点における指示誤差に対する差の最大値を求める。
5 繰り返し精密度 測定子が測定台上面に平行となるように、てこ式ダイヤルゲージを保持し、測定範囲内の任意の位置で5回測定子を急激にまたは緩やかに作動させて、そのときの各回の指示の大きさを読み取る。 測定範囲の任意の位置 5回の測定値の最大差を求める。
6 測定力 てこ式ダイヤルゲージを保持し、測定子を行き方向および戻り方向に連続かつ徐々に移動させて、測定範囲の測定力を読み取る。 測定範囲内の起点と終点 測定力の大きさに対する最大値および最小値を求める。

●最大許容誤差および許容限界

目量(mm) 0.001/0.002 0.01
回転数 1回転 多回転 1回転 多回転
測定範囲(mm) 0.3以下 0.3を超え
0.5以下
0.5を超え
0.6以下
0.5以下 0.5を超え1.0以下 1.0を超え 1.6以下
L1≦35 35<L1
指示誤差
(μm)
全測定範囲行き 4 6 7 6 9 10 16
1回転 - 5 5 - - - 10
10目盛 2 2 2 5 5 5 5
戻り誤差(μm) 3 4 4 4 4 5 5
繰り返し精密度(μm) 1 1 1 3 3 3 3
測定力(N) 最大 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5
最小 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01

テストインジケータの角度誤差

測定子はできるだけ水平にして使用ください。

テストインジケータの測定子を測定面に当てるとき、角度によって誤差が発生します。測定子を測定面に当てるときは、図の角度θをできるだけ小さくするようにセットしてください。θの値により測定値が異なってきます。θの値による測定値の補正は表に従って行います。

[ 真の値=測定値×補正値 ]

角度補正

角度 補正値
10° 0.98
20° 0.94
30° 0.87
40° 0.77
50° 0.64
60° 0.50

補正例

テストインジケータの読みが0.002mmの場合
θ=10° 0.002mm×0.98=0.00196mm
θ=20° 0.002mm×0.94=0.00188mm
θ=30° 0.002mm×0.87=0.00174mm

●てこ式ダイヤルゲージ B7533:2015に対する弊社の対応

完成品検査は、以下の対応で精度保証をしています。

  1. 縦形、傾斜形、垂直形:ダイヤル面を上にした姿勢で検査を実施
  2. 横形:ダイヤル面を縦にした姿勢で検査を実施
    また、標準付属の検査成績書に検査データを記載しています。
  3. 上記以外の姿勢での校正結果を希望される場合は有償で発行します。