デプスゲージの基礎知識
デプスゲージの性能評価方法
デプスゲージの日本工業規格として、JISB7518が2018年に改訂発行され、デプスゲージの指示誤差を表す「器差」が「指PG示値の最大許容誤差(MPE)」へと変更されています。
28従来JIS規格の「器差」は仕様の領域(精度仕様)と合格範囲が等しいとする合格基準が採用されており、合否判定に測定の不確かさは含まれていません。(図1)
新JIS規格の「指示値の最大許容誤差(MPE)」はISO規格(ISO14253-1)で採用される不確かさを考慮した合否判定の基本的な考え方が採用されています。
仕様への適合および不適合の検証は、国際的に認められている仕様の領域と合格範囲とが等しい場合の合格基準(simpleacceptance)を用いることが明記されており、不確かさを考慮した一定の条件を満たす場合に、仕様の領域=合格範囲とすることが認められています。
ここで、国際的に認められている合格基準とは、ISO/TR14253-6:2012です。(図2)
2018年のJIS規格変更点を含め、代表的な検査の内容を説明します。
部分測定面接触誤差の最大許容誤差 EMPE【JIS B 7518:2018】
デプスゲージにおける部分測定面接触誤差は、深さ測定に適用される指示誤差です。
表1に部分測定面接触誤差の指示値の最大許容誤差EMPEを示します。
精密定盤上に置いた2個のブロックゲージ、またはそれと同等以上のゲージ類を測定面にベース測定面を密着させた状態で、本尺測定面を精密定盤に当てたとき(図3)の、デプスゲージの指示値からゲージの寸法を減じることで求められます。
単位:mm
測定長 | 目量,最小表示量または最小読み取値 | |
---|---|---|
0.05 | 0.02または0.01 | |
50以下 | ± 0.05 | ± 0.02 |
50を超え 100以下 | ± 0.06 | ± 0.03 |
100を超え 200以下 | ± 0.07 | |
200を超え 300以下 | ± 0.08 | ± 0.04 |
300を超え 400以下 | ± 0.09 | |
400を超え 500以下 | ± 0.10 | ± 0.05 |
500を超え 600以下 | ± 0.11 |
注記 EMPEは,真直度,測定面の平面度および基準面との平行度によって生じ る測定誤差を含む。
表1 一般的なデプスゲージにおける部分面接触誤差の最大許容誤差 EMPE
図3 部分測定面接触誤差の測定
以下の機種で日本工業規格の指示誤差を表示する「器差」が「指示値の最大許容誤差(MPE)」へ変更されています。
- ・571シリーズ ABSデジマチックデプスゲージ VDS-AX/DC D-66掲載
(全機種) - ・527シリーズ デプスゲージ VDS D-67掲載
(全機種) - ・527・571シリーズ フック付きデプスゲージ VDS-H/PH/PR D-68掲載
(全機種) - ・571シリーズ ミニデプス NTD35-M D-69掲載
(全機種)