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NEW TECHNOLOGY TREND
ABSデジマチックキャリパ
産業界における測定工具のスタンダード
宇都宮事業所 商品設計部 設計1課 副主任研究員 木村 和彦

1. はじめに
 ノギスの歴史はものづくりの歴史と共に歩んで来たと言っても過言ではなく、その起源は17世紀まで遡り当時は物を挟んで外側寸法の見当を付ける程度のものさしの延長でした。その後ポルトガルの数学者ペドロ・ヌネシュ(ラテン語表記ぺトルス・ノニウス(Petrus Nonius)がノギスに目盛を付けたと言われており、このノニウスが訛ってノギスと呼ばれる様になったのが日本でのノギス文化の始まりとも言えます。
 ミツトヨの歴史においてもノギスは常に中核をなす商品であり、1982年に初代のデジタルノギスが商品化されて以降、お客様の声に合わせABSセンサを採用した『標準形デジマチックキャリパ』や耐油性を向上させた『防水形デジマチックキャリパ』、昨今のエコロジー志向を捉え、より環境に調和させた『防水形ソーラデジマチックキャリパ』など多様化するニーズに合わせ商品化を行って参りました。ここでは『標準形ABSデジマチックキャリパ』を初めとしたミツトヨ・デジタルノギスの機能と製品の一部を紹介します。
2. ミツトヨデジタルノギスの特長
アブソリュートエンコーダ ABSOLUTE(デジタルノギス全機種)
 アブソリュートエンコーダとは絶対番地が記録されている検出器です(図1)。ちょうど、線路の枕木に番号が振られている様にスケール内部のアブソリュートエンコーダに絶対番地が振られています。この絶対番地をスライダ位置から読取り演算をする事で測定値を表示します(図2)。このエンコーダの特長としては
●従来必要としていた再電源ON時のゼロセットが不要です。
●反応速度(応答速度)が無制限でどんなに早く動かしてもエラーにならないため信頼性が向上しています。
●消費する電流が少なく連続使用時間で20,000時間の電池寿命を達成しています。(当社計測値)
図1 検出方式
図2 アブソリュートエンコーダ
3. ミツトヨデジタルノギスのラインナップ
①標準形(ABSデジマチックキャリパ)
 ミツトヨデジタルノギスの歴史を受継ぐ標準形は、使い易さはそのままに文字高さ20%アップ(当社従来比)、ハイコントラスト液晶表示で疲労を軽減しムラなくしっかり心地よい作動を実現した汎用タイプです。スムーズな作動を実現するために従来まで感応評価であった摺動時の作動感を定量的に解析し、(図3)より軽く滑らかな作動を実現しま した。
 ABSデジマチックキャリパでは位置を読取る検出方式として静電容量式を採用しています。これは本尺部とスライダ部に配置された2電極間の静電容量が重なっている電極の長さに比例する原理を利用したものです。この静電容量式はここで紹介する標準形も含め数多くのデジマチックキャリパで採用されています。
図3 スライダ作動力の解析図
②防水形(ABSクーラントプルーフキャリパ)
 ABSクーラントプルーフキャリパは、大量の切削液や研削液がかかりノギス本体が液体で覆われる様な環境でも使用出来る目盛式ノギスと同等の使い勝手を実現したデジタルノギスです。防水性能を表す保護等級はIP67(表1)と一段と環境性能を向上させました。出荷時には全数エアリーク試験(図4)を実施していますので過酷な環境下でも安心してお使いいただけます。
 ABSクーラントプルーフキャリパでは、位置を読み取る検出方式として電磁誘導式を採用しています。電磁誘導式とは本尺部とスライダ部に配置されたコイルの一方に電流を流した時にもう一方のコイルに起電力が誘導される相互誘導作用を利用したものです。本方式では空気、水、油による透磁率の差が殆どありません(図5)ので、水や油の飛散する環境でも性能を落とす事なく使用可能です。(※特許登録済)
表1 保護等級IP67
図4 エアリーク試験概要図
図5 電磁誘導式の基本原理
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