信頼される企業に向けて

2006年にありました外国為替及び外国貿易法違反の件に関しまして、お客さまをはじめご迷惑をおかけした多くの皆様からの信頼を回復するために、役員・社員の一人ひとりが遵法精神を徹底し、ミツトヨグループ理念体系のもとに「信頼される企業に向けて」取り組んでおります。

信頼回復に向けた3年間の取り組み

2010年7月5日 「経営諮問委員会」による提言を受けて
~3年間の取り組み~

はじめに

 弊社は2007年3月、経営諮問委員会より、「事件の再発防止とグローバル企業としての社会的責任を果たすための提言」を拝受しました。経営諮問委員会は、弊社が前年の外為法違反事件を反省し、この様な事件を二度と起こさないため、経営体制の見直し、輸出管理体制の再構築、適法かつ適正経営の実現を目指して、失った信頼を回復していくための提言を、社外有識者からいただくために設置された委員会です。
 弊社は、この提言を受けてこの3年間、経営のさまざまな局面で活動を行ってまいりました。以下は、この概要を説明するものです。

有効な経営体制の強化

  1. (1)取締役会の改革 2007年4月、取締役会規程の全面的改定を行って、経営の意思決定機関としての本来の役割を明確にすると同時に、従来からの社外監査役の取締役会出席に加え、社外取締役の参加によって経営の透明性の強化、機能の強化を図りました。また、従来の事実上の経営意思決定機関であった常務会を廃止して、新たに、社長の諮問機関として経営会議を設置し、その役割・機能と位置づけを規程によって明確化しました。
  2. (2)監査機能の充実 内部牽制システム強化のため、2007年9月内部監査室を設置しました。現在、国内事業部門、海外子会社の業務監査は内部監査室が主体となって活動を行っています。また併せて、監査役と情報の共有化を行って、内部牽制機能の充実を図っております。
  3. (3)グローバル経営管理体制の構築 2008年3月、グローバル企業に相応しい組織的なグループ会社経営管理、グループ全体の内部統制を実現していくことを趣旨として海外事業管理室を設置し、弊社海外現地法人事業活動の実態把握、重要事項の承認と報告等を行うこととなりました。現在は、経営企画部事業管理課として、国内グループ会社も含めて、グローバル経営管理体制の整備推進、グループ内部統制システムの整備推進などを関係部門とともに推進しております。

新たな安全保障貿易管理体制の構築

  1. (1)グローバルな安全保障貿易管理体制の強化 弊社の輸出管理組織は、これまでの委員会中心の組織を改め、本社に中核として安全保障貿易管理部を設置、各事業部門に輸出管理推進課を設置するとともに、専任・兼任あわせて160名が輸出管理業務に直接従事するなど、大幅に強化しました。
     併せて、海外30カ国の弊社現地法人におきましても、国内からの出向者を含めた安全保障貿易管理業務従事者を配置し、輸出管理組織の整備と人材強化に努め、グローバルでの体制の構築と強化を進めております。
  2. (2)輸出管理プログラムの再構築 新たなミツトヨ輸出管理プログラムは、「輸出関連法令に反する行為は決して行わないこと、役員及び従業員は法令の遵守・適切な輸出管理について、不断の努力を行うこと、安全保障貿易管理に関する役割及び責任と権限を明確にし、管理体制の整備、充実、確実な実行の確保を図ること」など5項目を基本方針と定め、管理体制、該非判定・取引審査の仕組み、輸出管理区分と出荷管理の仕組み等を再構築して、ミツトヨグループ全体で運用しております。
  3. (3)輸出管理の監査機能の強化 国内事業部門、海外子会社の輸出管理に関する監査は、安全保障貿易管理部が主体的に実施しています。さらに、安全保障貿易管理部は、弁護士からなる第三者外部監査を受け、管理の有効性などの検証を行っています。
  4. (4)輸出管理教育の推進 法令を遵守し、安全保障貿易管理を適正に行うためには、安全保障貿易に関して正しい知識を習得することが不可欠です。このため、安全保障貿易管理業務に直接携わる者をはじめとして、全ての経営者・従業員に対して、社内集合教育の実施、社内e-ラーニング講座の開設と受講促進、社外講習会の受講促進、CISTEC「安全保障輸出管理実務能力認定」取得促進などを行っています。2010年6月末現在で、420名以上の者が STC Associate の認定を受けています。さらに、弊社海外現地法人の輸出管理責任者・担当者に対しても、安全保障貿易管理部が中心になって国内及び現地にて教育を行うなど、グループ全体で知識と能力の向上に努めております。

コンプライアンス体制ならびに内部統制システムの構築

  1. (1)コンプライアンス意識の徹底とコンプライアンス体制の確立 従来のコンプライアンス意識の希薄さを反省し、コンプライアンスを最重視することを経営姿勢として掲げ、2007年新たに理念体系を定め、倫理行動基準として明示しました。この理念体系・倫理行動基準は、国内はもとより各国の現地法人版を定めて従業員に周知するとともに、それぞれのホームページへの掲載を行っています。
     この経営方針に従い、2007年3月、コンプライアンス推進組織として、コンプライアンス倫理委員会を設置し、この委員会のもとコンプライアンス推進室を中心に各部門に部門責任者・推進者を定めるなどの体制を整えました。
     また、2007年、法務機能の強化のため、従来の法務グループを法務部法務課として改組し、経営上の法務リスク対応、各部門に対する法律相談・アドバイスによる適法な業務執行の支援、法務教育などを行っています。
     コンプライアンス倫理委員会では年度毎にコンプライアンス方針を定め、全社的に、また部門ごとにテーマを定めて活動を行っています。このうち、コンプライアンス意識の向上と法令の知識向上のため教育・啓蒙活動としては、「倫理行動基準ケースブック」の発行・従業員への配布(2007年及び2009年第2版)、社内e-ラーニングシステムに倫理行動基準講座・法令知識講座の開設と受講促進活動、社員が自分の担当業務に関係の深い法令の概要を知ることができるよう、法令解説のデータベースの構築と社内公開、啓蒙ための「コンプライアンス通信」の定期発行などを行っており、今後さらに充実していく予定です。
  2. (2)ヘルプラインの設置 2007年、倫理行動基準に則った法的、倫理的問題を通知・相談できるルートとして、社内・社外窓口による「ヘルプライン」の仕組みを整え、従業員に対する周知・啓蒙を行いました。このヘルプラインに通報される情報により、組織の自浄能力の向上に努めております。
  3. (3)内部統制システム構築への取り組み 上述のとおり、コンプライアンス倫理委員会・コンプライアンス推進室の設置によるコンプライアンス活動の充実強化、経営企画部事業管理課によるグループ内部統制の強化、内部監査室による監査機能の強化など、内部統制システムの組織体制を整備してまいりました。
     またコンプライアンス推進室は、国内はもとより海外現地法人に対するリスクマネジメントの概念と手法の教育・指導を行うなどの活動を推進しております。

組織体質の変革

 新たに定めた経営理念を基本として、企業体質を変え、再生するためのビジョンと、経営諮問委員会の提言にある「コミュニケーションの充実」、「教育の徹底と学習の促進による人材育成の充実」などを含めた再生ビジョン達成のための6施策を策定し、弊社ホームページ上の「信頼される企業に向けて」のなかで公開いたしました。そして、これらの6施策を実行するために、2007年から担当取締役をリーダとして3年間取り組んでまいりました。
 この再生のためのビジョンを、弊社の第1次中期計画として位置づけ、2010年度を初年度とする第2次中期計画に引き継いで今後も活動してまいります。

事件の教訓の風化防止

 2007年から毎年10月を「コンプライアンス月間」と定め、事件の反省が活かされた企業活動を行っているかを再確認する活動を行っています。コンプライアンス月間の目的は“過去の法令違反での反省と教訓を風化させない。また、改めてミツトヨグループが最重要の経営課題のひとつとして、コンプライアンス経営に取り組むという強い意思を全役員・従業員で共有する。”というものです。このコンプライアンス月間は、今後も継続して実施してまいります。

 弊社は、これまでの3年間、以上のような活動を実施してまいりました。今後も、グローバル企業として社会的責任の重さを十分に認識し、これまでの信頼回復に向けた活動をより確実なものにしていくと同時に、全役員・従業員が常に自らの意識と行動を見つめ、より良い風土・文化を目指して、継続して取り組んでまいります。

2007年5月29日 コンプライアンス体制推進への取組み

-理念体系の周知徹底&ヘルプラインの設置-

 2007年2月1日に発効した理念体系を受けて、ミツトヨは、コンプライアンス体制推進へ、下記施策を取組んでまいりました。

全社員向け理念体系説明会の実施と誓約書の提出

 従来の“社是”、“社訓”の意義を問い直し、あらたに定義づけた“経営理念”と、全役員・社員が守るべき行動の基準を定めた“ミツトヨグループ倫理行動基準”の説明会を、日本国内の全役員・全社員(パート社員、派遣社員含む)を対象に、2007年2月5日~17日まで合計22回実施致しました。
 説明会では、担当取締役より、“理念体系”の説明、コンプライアンス推進部より“ミツトヨグループ倫理行動基準”の説明を行いました。
 また、この倫理行動基準を遵守し、誠実に行動することを、会社、社会、家族に宣誓する意味で、“誓約書”を提出いたしました。

説明会の様子
誓約書の記入

ミツトヨグループ倫理行動基準 手帳判の配付

 2007年3月22日、業務の中で迷った時に、常に内容を確認できるように、手帳サイズの倫理行動基準を、全役員・全社員に作成配付しました。

ミツトヨグループ倫理行動基準
手帳サイズの倫理行動基準

倫理行動基準ケースブックの作成・配付

 2007年3月22日、倫理行動基準の内容を、実際の事例に基づき、良く理解できるように、ケースブックを作成しました。
 倫理行動基準の項目毎に、30の事例を掲載し、全役員・全社員に配付しました。

ケースブックの事例
ケースブックの表紙

ヘルプラインの設置・運用開始

 2007年3月22日企業倫理に抵触する行為を防止または早期発見して是正することを目的に、全役員・全社員が相談または通報することのできるヘルプラインを社内、社外に設置しました。

ヘルプラインの概要

 以上は、2007年3月末までに実施した主な取組み内容ですが、これで万全というわけでは無く、これからもコンプライアンス体制の推進を目的に、施策を実施していく予定です。

2007年3月23日 ミツトヨ経営諮問委員会からの提言について

 弊社は、今月6日(金)ミツトヨ経営諮問委員会より、「事件の再発防止とグローバル企業としての社会的責任を果たすための提言」を拝受しました。本諮問委員会は、弊社が外国為替及び外国貿易法違反ならびに関税法違反の容疑で起訴されるに至った背後にある原因を分析し、ミツトヨに対して下記3つに関する提言をまとめることを目的として設置されたものです。

  1. (1)取締役会および取締役が適法かつ適正に機能するため
  2. (2)企業が健全な企業倫理に照らして活動するため
  3. (3)70有余年にわたる企業風土を見直し、真のグローバル企業になるため

 弊社は、ここにある提言を真摯に受け止め、優先度・重要度をつけて取組みを進め、一日も早い信頼回復に努めてまいります。

事件の再発防止とグローバル企業としての社会的責任を果たすための提言

以上

2007年3月23日
株式会社ミツトヨ
代表取締役会長兼社長
沼田 智秀

2007年2月1日  信頼される企業に向けて

 2006年8月25日、外国為替および外国貿易法違反容疑で、前社長ほか4名の逮捕、そして、9月14日に前社長ほか前役員など3名が起訴され、さらに9月28日に4名の再逮捕とともに、翌9月29日に法人としてのミツトヨが書類送検されました。そして、10月18日にはすでに起訴されていた前役員4名が外国為替および外国貿易法違反と関税法違反で追起訴されるとともに弊社も法人として起訴されました。
 ミツトヨは、「仏教伝道の支援を通して人々の幸福に寄与する」という創業者の願いのもとに創業され、以来、「精密測定によって社会に貢献する」という使命感を持って事業を営んでまいりました。
 それだけに、ミツトヨグループの役員や社員にとって今回の事件は誠に痛恨の極みです。世間をお騒がせし、関係する多くの方々にご迷惑をおかけしましたことに対して深くお詫びを申し上げますとともに、二度とこのようなことを起こさないことを肝に銘じて、海外貿易に関する安全保障体制の確立や組織体質の変革など、様々な改革を進めるとともに、新たな理念体系を設定いたしました。
 しかしながら、何よりも大切なのは、ミツトヨグループの役員・社員一人ひとりの意識と行動の改革であると考えています。会社として、遵法意識が希薄であったことが今回の事件の背景となったことを深く反省するとともに、今回の事件の教訓を風化させずに、一人ひとりがこの新しい理念体系のもと、企業の使命や社会的責任を踏まえて行動してまいります。

新しい理念体系

 組織体質を変革するための重要な切り口として、経営理念や社是・社訓の意味を問い直し、「あるべき環境(組織環境、責任権限、人事管理の考え方等)」を明確にして、役員と社員が同じ考え方で取り組まなければならないと考えています。
新しい理念体系は、「創業の精神」、「経営理念」、「倫理行動基準」で構成されています。

新しいミツトヨグループ理念体系

創業の精神

 創業者が会社設立に託した強い思いである「創業の精神」は、不変でありミツトヨの経営の原点であり、ミツトヨグループ全体の心の拠り所となるものです。

  1. (1)仏教伝道の支援を通して人々の幸福に寄与する
    • 共存共生の心である仏教伝道の支援を通じて人類の平和と幸福に貢献するという願いが最初にあり、この願いを成就するために会社を興しました
    • また、会社は縁あって集まった社員が共に成長し共に幸せを追求する「共生の場」であり、人格を磨く「人生の道場」でなくてはならないと考えました
  2. (2)活動する領域において世界のトップレベルを目指す
    • 創業者がマイクロメータの国産化に着目したのは、“人に迷惑をかけない”“世のため人のためになる”という共生の心に基づいています
    • まだ技術も確立されていない時代に、「やる限りは世界でも一流と評価され、信頼される存在になる」という高い志をもって事業を開始しました

 「創業の精神」の意義を再確認して会社の存在意義、会社経営の基本目的として「経営理念」を新たに定義いたしました。

経営理念

 経営理念は『精密測定で社会に貢献する』ことであり、これは、以下に掲げた6つの指針を成し遂げることを意味しています。

経営理念の6つの指針
  1. 1つ、精密測定に関する課題解決を通じて、お客さまの事業発展に貢献する
    • 製品、サービスの提供にとどまらず、精密測定に関する技術、ノウハウを駆使して、お客さまの課題解決に貢献します
    • これを通じてミツトヨの技術、ノウハウをさらにレベルアップし、お客さまのより困難な課題解決に貢献するという好循環を実現します
  2. 1つ、精密測定技術の練磨・革新を通じて、世界の産業・技術の進展に貢献する
    • 精密測定の技術を高め、経済性の向上を図るとともに、これまで対応困難とされてきた物の測定を可能にすることにより、世界の産業の発展、技術の進歩に貢献します
  3. 1つ、事業活動に関りのある全てのパートナーとの共存共栄を図る
    • 開発、販売、購買、製造、物流等に関わる全てのお客様との公平・公正な取引関係を維持するとともに、お取引先様の技術・技能の向上や人材育成を支援することにより、相互の信頼関係を継続的に発展させます
  4. 1つ、世界の平和、人類の幸福、自然環境との調和に寄与する
    • 世界の平和、人類の幸福につながる事業や社会貢献活動を支援します
    • 企業活動のあらゆるプロセスにおいて、自然環境との調和を図ります
  5. 1つ、誠実で責任ある企業活動を行い、社会の信頼に応える
    • 世界のトップブランドとしての社会的責任を果たすべく、法令遵守はもとより、高い企業倫理に則った誠実な企業活動を行います
    • 経営の透明性を高め、社会に開かれた企業としての説明責任を果たします
    • ミツトヨが社会に対する責任を果たし続けるために、企業活動のあらゆる場面において生じるリスクに対し、適切な対応を図ります
  6. 1つ、働きがいのある“生き生きとした” 企業風土を築き上げる
    • 社員が誇りを持ち、共に成長し、働く喜びと幸せを共有できる企業風土を築き上げます
    • 縁あって集った社員が、良き社会人として成長し、自立するための人格形成の場(人生の道場)を提供します

社是・社訓及び倫理行動基準

 また、上記「経営理念」を実現するための会社の基本方針である「社是」と経営理念を実践する行動指針である「社訓」を再度確認し、それらを踏まえて、ミツトヨグループのすべての役員、社員が守るべき企業倫理に則った行動基準である「倫理行動基準」を制定し、実践してまいります。

再生に向けて

 新たに定義した経営理念を基本として、企業体質を変え、再生するためのビジョンを次のように設定いたしました。

 再生ビジョンのコンセプトは、「バランスの取れた経営」 「開かれた組織」 「信頼される企業」を目指すというものです。

再生ビジョンのコンセプト

 この再生ビジョンを達成するための施策を「仕組み」と「風土・文化」に分けて考えました。まず、仕組みについては、既に実行したものも含めてつぎの4項目があります。

新経営体制
経営責任を明確にするとともに、事業の継続性を確保し、全社一丸となって適切な業務運用に取り組むべく、昨年9月11日付で新たな経営体制を発足させました。
経営諮問委員会
社外の有識者からなる経営諮問委員会を昨年10月23日付で設置し、経営全般にわたる改革案を今年3月までに提言いただくための審議が進められております。
新たな輸出管理体制の構築
輸出管理見直しプロジェクトにおいて、新たな全社輸出管理体制の構築やそれぞれの事業所における輸出管理体制の構築を進めるとともに昨年11月21日付で設置した安全保障貿易管理部を中心にして職場毎に、全社員に向けた教育も順次実施してまいります。
内部統制システム
コンプライアンス推進部が内部統制・ガバナンス体制構築の具体的実施計画を立案し、順次実施する準備を進めており、今年3月21日の運用開始を目指しております。
次に、風土・文化については、具体的な施策としては6項目あります。
ビジョンを達成するための施策
  • 「明確な指示を伴うトップダウンと自ら参画するボトムアップのバランスある融合の実現」による適切な意思決定
  • 「信頼関係の構築と権限委譲の実現」による責任と権限の適切な分担
  • 自ら参画するボトムアップを支えていくための「報われる評価制度の実現」
  • 「発言できる会議、ディスカッションの実現」によるコミュニケーションの充実
  • 内部統制体制の確立による、輸出管理、労務管理、品質管理など我々を取り巻くいろいろなルールについての「法令遵守の実行とリスク管理・監査の実行」
  • すべての施策を支えていくための「レベルアップできる教育体制の実現」

 再生ビジョンを達成させるためには、このような仕組み、風土・文化を創っていく必要があります。
これらの施策は全て関連していますので、バランスを取りながら実行してまいります。

1.トップダウンとボトムアップのバランス融合の実現(適切な意思決定)
施策の1つ目は、「トップダウンとボトムアップのバランス融合の実現」です。
これによって、
  • 明確な指示をともなうトップダウンと自ら参画する意識を持ったボトムアップで、お互いに情報を提供・共有し、お互いに共感し納得した意思決定が行える会社
を目指します。
2.信頼関係の構築と権限委譲の実現(責任と権限の適切な分担)
施策の2つ目は、「信頼関係の構築と権限委譲の実現」です。
これによって、
  • 上下前後左右で、お互いの信頼関係に基づいて、適切に責任と権限を分担し、周りの立場・状況を理解・把握し、情報を共有しながら自ら進んで業務を行なえる会社
を目指します。
3.報われる評価制度の実現
施策の3つ目は、「報われる評価制度の実現」です。
これによって、
  • 自ら進んで、周りの共感を得ながら業務を行なった人が適正に評価され、適切に処遇される報われる会社
を目指します。
4.発言できる会議、ディスカッションの実現(コミュニケーションの充実)
施策の4つ目は、「発言できる会議、ディスカッションの実現」です。
これによって、
  • 参加者全員が、開催の目的と目標を理解し、議論を尽くし、納得した決議を出す会議が行われている会社
  • 参加者全員が、課題や方向性などを自由に話し合い共有化できるディスカッションが、いろいろなところ・形態・メンバーで行なわれている会社
を目指します。
5.法令遵守の実行とリスク管理、監査の実行(内部統制体制の確立)
施策の5つ目は、「法令遵守の実行とリスク管理、監査の実行(内部統制)」です。
これによって、
  • 関連法令の精神を理解し、高い次元で法令遵守を行う会社
  • 事前に危険を察知できる監査を適切に行う会社
  • さまざまなリスク管理を常に実行する会社
を目指します。
6.レベルアップできる教育体制の実現
施策の6つ目は、「レベルアップできる教育体制の実現」です。
これによって、
  • 業務の遂行に必要な教育を、目的に合わせて適切に実行する会社
  • 自ら学習し、よき社会人として成長しようとする人を応援する会社
を目指します。

以上6項目については、それぞれに担当取締役を任命し、今後3年間で基礎固め、検証と修正を行い具体的に実現してまいります。

再生ビジョン

 そして、これらの施策を通し、私たちを取り巻く多くの方々から信頼される企業を目指してまいります。

2007年2月1日
株式会社ミツトヨ
代表取締役会長兼社長
沼田 智秀

本件に関するお知らせの履歴

2006年10月13日 このたびの外国為替及び外国貿易法違反の件につきまして

 先般、外国為替及び外国貿易法違反の容疑で弊社前社長手塚和作ほか前役員3名が起訴・再逮捕されると共に、弊社が法人として書類送検されました。
 上記4名が捜査段階で被疑事実を認めており、弊社自らも被疑事実にある法令違反行為が行なわれていたことを確認いたしました。
 世界を市場に製品・サービスを提供する弊社においては、世界の平和と安全への貢献及び時代が求める企業の社会的責任を自覚し、活動する必要があったにもかかわらず、会社として遵法意識が希薄であったと深く反省しております。輸出管理体制が十分機能せず、三次元測定機のうち、本来外為法輸出規制該当品として許可を得た上で輸出されるべき機種について、弊社幹部の関与の下に、長期にわたり規制非該当品として輸出するという法令違反行為が行われたことは、誠に申し訳なく、深く反省しております。
 お客様をはじめお取引先ほか多くの方々の信頼を損なうと共に、多大なご迷惑をおかけしていることについて深くお詫び申し上げます。大変申し訳ございませんでした。
 弊社といたしましては、社会的責任の重さに鑑み、今回の事態を厳粛に受け止め、捜査に全面的に協力すると共に、公判においては公訴事実を争うことなく、早期の再生を目指すことといたしました。
 弊社は、こうした法令違反行為の再発を防ぎ、新たなる経営体制の下「厳格なる遵法経営」による再生を目指すために、社外の有識者による経営諮問委員会の設置、輸出管理業務の見直し、内部統制の確立等の改革に着手いたしました。
 今後は、関係官庁各位のご指導も得て、これらの取り組みを全社一丸となって推進し、お客様はじめ多くの方々の信頼を一日も早く回復できるよう努めてまいります。
 社会をお騒がせしましたこと、多くの方々にご迷惑をおかけしておりますことを改めて深くお詫び申し上げます。

2006年10月13日
株式会社ミツトヨ
代表取締役会長兼社長
沼田 智秀

2006年9月28日 弊社前社長ほかの再逮捕につきまして

 本日、弊社前代表取締役社長手塚和作ほか3名が外国為替及び外国貿易法違反の容疑で警視庁に再逮捕されました。
 弊社は、この事態を厳粛に受け止めるとともに、お客様はじめ関係各位の皆様に度重なるご心配、ご迷惑をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。

2006年9月28日
株式会社ミツトヨ
代表取締役会長兼社長
沼田 智秀

2006年8月31日 今後の対応につきまして

 弊社前社長手塚和作ほか4名の逮捕に関し、お客様はじめお取引先の皆様に多大なるご心配とご迷惑をおかけしておりますことを改めて深くお詫び申し上げます。
 このたびの事態を受け、皆様のご不安やご心配に最大限対処し、当社の製品を今後とも安心してご使用いただくことを最優先で考えるとともに、逮捕者が出たことに対する経営責任という観点から、以下について決定いたしましたのでお知らせいたします。

  1. 1.取締役人事について
    1. (1)8月31日(木)付にて、以下の3名が退任
      代表取締役副会長 高辻乗雄
      代表取締役社長 手塚和作
      常務取締役 筑後英世
    2. (2)8月31日(木)付にて、以下の2名が就任
      代表取締役会長兼社長 沼田智秀
      取締役副社長 坂本 仁
  2. 2.事業継続性の確保について

     お客様はじめお取引先の皆様が、今後も引き続き安心して当社とお付き合いいただけるよう、以下の施策を実施してまいります。

    1. (1)今般の緊急対策
       今般の事態による、お客様へのご迷惑を最小限に止めるため、取締役副社長坂本を委員長に全社的な対策委員会を設置し、生産、販売、サービスを滞りなく進めるよう最善の努力をいたします。
    2. (2)全社輸出管理業務の見直し
       現行の輸出管理審査業務に関して、プロジェクトを設置して、さまざまな角度から課題を抽出し、改善策をまとめ、順次実施してまいります。

 上記の事項は、今後の対応に関してのあくまで端緒に過ぎません。今後も引き続き、遵法精神に則った経営、事業の継続という観点から、さまざまな施策を検討し実施してまいります。
 なお、繰り返しになりますが、今回の逮捕容疑に関する事実関係の説明、当社としての正式な見解の表明については、捜査中であり起訴事実も確定していない現時点では、言動を控えさせていただきたいと存じます。
 関係各位の皆様には引き続き、ご心配とご迷惑をおかけ致しますが、現況について何とぞご理解賜わりますようお願い申し上げます。

2006年8月31日
株式会社ミツトヨ
代表取締役会長兼社長
沼田 智秀

2006年8月25日 弊社社長ほか4名の逮捕について

 本日、弊社代表取締役社長手塚和作ほか4名が、外国為替及び外国貿易法違反の容疑で警視庁に逮捕されました。
 弊社は、この事態を厳粛に受け止めるとともに、お客様をはじめ、取引先等多くの方々に多大なるご心配とご迷惑をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。
 現時点では、捜査が続いている状況でもあり、その捜査に引き続き全面的に協力することが当社にとって最重要の責務と考えております。
 従いまして、捜査に影響を与える可能性があると思われる一切の言動を控えることが当面の適切な対応と判断いたしております。
 関係各位の皆様には引き続き、ご心配とご迷惑をおかけ致しますが、現況について何とぞご理解賜わりますようお願い申し上げます。

2006年8月25日
株式会社ミツトヨ
代表取締役会長 沼田 智秀