JIS改正の要点(旧規格との比較)寸法測定の指示誤差、プロービング誤差

番号 JIS B7440:1987 JIS B 7440-2:1997 JIS B 7440-1.2.3.4:2003 5.6:2004 JIS B 7440-1.3.4 : 2003 .6 : 2004 .2.5 : 2013
PART2
寸法測定の指示誤差

試験回数:5回
試験長さ:5水準
測定長:各軸測定ストロークの1/10・1/5・2/5・3/5・4/5
測定方法:長さ基準器の両端面で1回プロービングして長さ測定を行います。

試験回数:3回
試験長さ:5水準
最小測定長さ:30mm以下
最大測定長さ:測定空間の最も長い対角線の66%以上
測定方法:2つの名目上平行な平面上の向かい合った2点を測定することにより行います。

試験回数:3回
試験長さ:5水準
最小測定長さ:30mm以下
最大測定長さ:測定空間の最も長い対角線の66%以上
測定方法:2つの名目上平行な平面上の向かい合った2点を測定することにより行います。

試験回数:3回
試験長さ:5水準
最小測定長さ:指定無し
最大測定長さ:測定線に沿った座標測定機の最大移動可能範囲の66%以上
測定長さ:測定長さに対して均等に5水準測定を行います。
(測定軸ストロークの1/10,1/5,2/5,3/5,4/5)
測定方法:2つの名目上平行な平面上の向かい合った2点を、Z軸からのオフセット無しのプローブ条件にて測定する。

測定シーケンス:
0→1,0→2,0→3,0→4,0→5,0→6,・・・・・,0→15
(ゲージブロック測定と同様の測定シーケンスへの統一)

測定位置

試験位置:5つの試験位置で実施します。

試験位置:任意に選んだ7つの試験位置で実施します。

試験位置:任意に選んだ7つの試験位置で実施します。

a. Z軸スタイラスオフセットが0mmにおける長さ測定誤差(E0
試験位置:空間対角4方向は必須、各軸に平行な3方向は既定となっております。

b. Z軸スタイラスオフセットが150mmにおける長さ測定誤差(E150

試験位置:Z軸からスタイラスをオフセットさせ、YZもしくはXZ面対角に対して突出し方向を反転させ2本測定を行います。

評価方法

U3=D+E・L≦F

±の符号を持って評価します。
テンプレートを用いて評価します。

E=A+L/K≦B
または  E=A+L/K
または  E=B

±の符号を取り、絶対値で評価します。
テンプレートを用いる規定はありません。

E=A+L/K≦B
または  E=A+L/K
または  E=B

±の符号を持って評価します。
テンプレートに測定結果をプロットします。

合否の判定には不確かさを考慮します。

EL=A+L/K≦B
または  EL=A+L/K
または  EL=B

EL[mm]:LはZ軸からのスタイラスオフセット長さ

±の符号を持って評価します。
テンプレートに測定結果をプロットします。

合否の判定には、ISO/TS 23165※に準拠した不確かさを考慮します。

※ISO/TS 23165 Guidelines for the evaluation of coordinate measuring machine (CMM) test uncertainty
注)ISO/TS 23165のJIS規格はありません。

●ISO/TS 23165で要求される不確かさ項目

【温度補正あり】
(1) 標準器の校正の不確かさ
(2)標準器のアライメント誤差
(3)標準器の固定の不確かさ
(4)標準器の熱膨張係数の不確かさ
(5)標準器の温度の入力値の不確かさ
(CMM付属の温度計で自動補正する場合、(5)は不要)

【温度補正なし】
(1)標準器の校正の不確かさ
(2)標準器のアライメントの不確かさ
(3)標準器の固定の不確かさ

ミツトヨの検査では、不確かさを考慮した合否判定を行っております。

長さ測定
誤差の
繰返し範囲
規定なし 規定なし 規定なし

長さ測定誤差の繰り返し範囲(R0)
上記のE0測定の各々の測定結果より3回の繰返し測定の ばらつきの最大幅を評価し、繰返し範囲R0を算出します。

検査に
使用できる
標準器
ゲージブロックやステップゲージのような端度器のみ

検査時に使用可能な標準器が拡大緩和されます。
(a)ゲージブロック
(b)ステップゲージ
(c)レーザー干渉測長器
(d)ボールバー,ボールプレート など
しかし最終的な検査結果は、挟み込み測定に拠ります。
一方向測定の場合、双方向測定(25mmゲージブロック挟み込み測定)と組み合わせて測定子に拠る誤差を考慮した判定を行います。

標準器の
熱膨張係数
の制限
規定なし 規定なし 規定なし

低膨張仕様( 2×10-6/℃以下)の場合は仕様書等に(*)を記して、その仕様を明記する必要があります。
低膨張仕様の場合は標準膨張係数※の標準器での検査を各軸に平行な軸での測定を1本追加します。
(ストロークの1/2 もしくは500mmのいずれか短い方より長い条件にて測定を実施する必要があります)
ミツトヨ検査では原則として500mmのゲージブロックを測定します。
※標準の膨張係数:8×10-6/℃ ~ 13×10-6/℃

PART2
プロービング誤差
規定なし

検査用標準球:直径10~50mm
形状精度がR/5以下で保証されていること。

測定方法:半球状を均一に25点測定します。
プローブの軸の方向は座標測定機のどの軸とも平行でないことが望ましい。

プロービング点(例)

評価方法:
25点すべての測定点を用いて、最小二乗による球の中心座標を求めます。25点それぞれについて半径rを計算し、25点の半径の範囲を用いて検証します。

プロービング誤差:R=rmax-rmin

検査用標準球:直径10~50mm
形状精度が校正されていること。
測定方法:半球状を均一に25点測定します。
スタイラスの向きは座標測定機のどの軸とも平行でないことが望ましい。

推奨プロービング点

評価方法:
25点すべての測定点を用いて、最小二乗による球の中心座標を求めます。25点それぞれについて半径Rを計算し、25点の半径の範囲を用いて検証します。

プロービング誤差:P=Rmax-Rmin

合否の判定には不確かさを考慮します。

※従来JIS B 7440-2の中に記述されていた、プロービング誤差はJIS B 7440-5(2013)シングル及びマルチスタイラス測定に記載されることになります。

測定方法に関しては後述いたします。